公正取引委員会、JASRAC に排除措置命令へ についてまとめてみた。 あとカラオケ。

東京新聞:著作権管理で私的独占 JASRACに排除命令:社会(TOKYO Web)

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2009020702000210.html

 関係者によると、JASRACは、NHKや民放などの放送局と曲の使用頻度に関係なく放送事業収入の1・5%を使用料として受け取る「包括利用許諾契約」を締結している。


 この契約で放送局は、圧倒的シェアを占めるJASRACの曲が使い放題となる一方、他の事業者が管理する曲を使うと追加支出が必要になる。


 公取委JASRACの使用料徴収の仕組みが他事業者の参入を妨げていると判断。実際の使用頻度に応じて徴収する方法に改めるなどして独占状態を解消するよう求めるとみられる。

徴収方法改めきたー。ちょっと出遅れたけどまとめ。スラッシュドットが一番わかりやすかったので、そこから引用させてもらおう。

概要

JASRACに公取委が立ち入り - ITmedia News 2008/4/23の記事

JASRAC、なぜ公取に立ち入られたのか? 2008年05月11日 の記事
つまり、JASRACが管理業務を独占していたことで、放送局はJASRACに定額料金を支払っていれば「かけ放題」を維持できていたわけです。しかし、今ではJASRAC以外の事業者が管理する楽曲を流すと、追加で著作権料を支払わなければいけなくなった。

 放送局からしたら、ほとんどの曲はJASRACに登録されているので、追加料金を払ってまで新事業者の曲をかけようとは思わないでしょう。事実、放送局内部では「この曲はJASRAC管理じゃないのでかけないように」という通達が出回っていたりします。

 しかし、これでは公正な競争が行なわれず、いわばJASRACが放送局とグルになって、60年以上著作権管理業務を独占していたメリットをフルに利用しているとも言えますよね。これを元に公取は「JASRACが実質的に市場を支配している」と判断して、今回の立ち入り検査につながったのだと思います。


「いったいどこが問題なのか」――JASRAC加藤理事長、公取委の立ち入りに「不満」 - ITmedia News 2008/5/14

排除命令でたー

独占禁止法って?

独占禁止法は「市場を独占すること」を禁止しているのではなく(←これがよくある勘違いね),「市場における独占的な立場を利用して,競合他社を排除するような商行為を行うこと」を禁止しているのです.例えば,ある製品でそれなりのシェア(No.1じゃなくても)を持っている会社が「他の会社の商品を扱ったら,その時点でうちの契約は自動的に破棄されたものとする」みたいな露骨な排他契約をすれば真っ黒なわけです.

放送局との関連

アニソン三昧で3回連続鳥の詩を流したNHKはちゃんとした仕事をしてるって事ですね?
まあザ☆ネットスター!で国歌と呼ばれるとか解説する国営放送ならではですが :-)

NHKも過去には色々問題がありまして、反省して局内での著作権管理体制がしっかり出来上がったので、今ではJASRAC管理曲か否かに関わらず処理ができるようになっています。


逆を言うと、民放TV局の著作権管理体制はお粗末の一言に尽きます。


■ほか放送局

 現在、全曲報告が行なわれていない放送局からの包括契約に基づく使用料は、サンプル調査に基づいて分配が決められています。
 なお、ラジオ局とNHKは既に全曲報告へ移行していますので、その報告にしたがって分配が行なわれている筈です。


 包括契約そのものが問題というよりも、使用実態報告を伴わない包括契約が問題というべきでしょうね。

いや、前年の各レコード会社の売り上げシェアによって分配だと聞きましたけど。
実際どんだけ弱小インディーのテクノ・エレクトロニカ等がニュース番組のバックで
使われてても、一銭も入ってきませんよ、Jasrac登録しててもです。

ということで、JASRACとTV局は実際に使用した楽曲の細かい内容を出さなくてはいけなさそうだ ということです。

カラオケは?

身近なものといえばカラオケです。
詳しいのが
RequestStation > karaoke NOTE > カラオケ配信の条件
さん。JASRAC委託について書かれています。上記の状況とよく似ているので、これにも排除命令が出ると自分は考えています。


著作権料についてはどうなっているのかというと、面積による算出なんですよね。なもんで、カラオケ屋さんは昼間の人にいない時間帯でも動かして無いと損だから安い金額で動かしてる。
カラオケボックス、カラオケルームでの音楽利用 JASRAC

カラオケボックスなどについては定員によって4つに区分しており、
一部屋ごとの使用料の合計額がその施設全体の月額使用料となります。


カラオケボックス、カラオケルーム等で年間の包括的利用許諾契約を結ぶ場合
(ア)ビデオカラオケ(レーザーディスクや通信カラオケなど)による歌唱


区分 定員 月額使用料
1 10名まで 4,000円
2 10名を超え30名まで 8,000円
3 30名を超え50名まで 12,000円
4 50名を超え100名まで 16,000円

 配分についてはカラオケは謎です。調べてもでてきません。アニメソングとか物凄い歌われてると思うんですが、佐々木功氏や水木一郎のアニキが金持ちになったと言う話は聞かないので、多分適当に配分されてるんでしょう。カラオケ会社は独自に歌われた曲の集計を持っているところが多いので、JASRAC委託という包括契約が無くなっても、システム的にそこまで痛くは無いと思われる。


斜線部分 ブックマークより訂正

水木一郎佐々木功は実演家だから、作詞作曲への著作権料なカラオケでは原則1銭も儲からないんだけどな

いわれて解る自分の馬鹿さ加減。そりゃそうだ。

はてぶから追記

公取の排除命令がJASRACにもたらしたもの - memorandum
http://d.hatena.ne.jp/bn2islander/20090210/1234273226

放送局に対する包括契約で得た金銭は、JASRACのもとに全て集められ、JASRACから各管理会社へと分配される。基本的には、これで問題がないという事になる。しかし、これはJASRACの独占状態を是認したことにならないだろうか。

これもブックマークから。元になった読売の記事(JASRACに公取委が排除命令へ、新規参入を阻害 )も読んでたのに気がつかなかった。


東京新聞の書き方だと、包括契約は駄目に見えるんだがどうだろうか?

公取委JASRACの使用料徴収の仕組みが他事業者の参入を妨げていると判断。実際の使用頻度に応じて徴収する方法に改めるなどして独占状態を解消するよう求めるとみられる。

このとり方によって、結論がずいぶん変わってきそうな勢いです。何とかまとめたいので、ここがおかしいの突っ込みを待ってます。しかし、遅いと思って書いたけど、あんまり動きが無いから、本戦は排除措置命令後になるんだろうか?

結論

今回のことでJASRACに入るお金が物凄い減って解体は無いですが、今まで不透明だった金額の分配に透明性がでるので歓迎しています。今までは憶測部分が多くカスラック言っていても上滑りな感じがあり、裏づけを持っていえなかったけど、今回から独占禁止法違反のカスラックと大きな声でいえます。


あわせて楽譜出版、録音、演奏の権利とゲーム、着信メロディ、ネット配信などの権利は別に管理したいのに、JASRAC著作権信託ではそれができないことを指摘して、これを改めるよう求める動きも活発化してほしい」
音楽著作権の独占管理を改めよ 1998/3/4 坂本龍一

関連 ジャスラックへのリンク

入場料と会場の定員数から公演1回ごとに使用料を算定する方法
入場料などから、1曲ごとに使用料を算定する方法
JASRACを考える。:JASRACとの第1回協議内容で、ジャズ喫茶についての配分

配分先については、全国無作為200店よりのサンプル調査により配分している

とのこと。2005年情報です。事前に申告すれば一曲毎の集計もできるようですが断られた例が上記リンクにありました。