著作権法の非親告罪化について

色々追いまくって疲れました。 とりあえず関連するリンクおよびPDFの文書化。


これから関連記事等を集めていきます。


たけくまメモ : 【著作権】とんでもない法案が審議されている
http://takekuma.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_b72f.html


著作権法非親告罪化で同人完全死亡、ネットでパクりを糾弾袋叩きし放題 ⊂⌒⊃。Д。)⊃カジ速≡≡≡⊂⌒つ゚Д゚)つFull Auto |
http://www.kajisoku.com/archives/eid1380.html


◆「著作権法非親告罪化」で“同人作家”等に深刻なダメージか (from 痛いニュース(ノ∀`))
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/977113.html


海賊版対策の強化に向け、著作権法における「親告罪」の見直しを Impress IT
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2007/02/28/14923.html


◆ブログちゃんねる:著作権法改定で同人活動にも規制が?!(審議され始めの記事 2006/11/24)
http://blog.livedoor.jp/blog_ch/archives/50614404.html

現状の簡単な説明

 政府側
  コンテンツ保護(DVD等の違法販売)をやめさせたい
  権利者が弱かった(報復や金銭的問題)り、手続きが煩雑であるためなんとかしたい
   ↓
  著作権違反は親告罪親告罪 - Wikipedia
   ↓   
   ↓
   ↓   ↓関係ある?(警察庁の『漫画・アニメ・ゲーム表現規制法』検討会問題まとめ - 何が起きているの?
  非親告罪化して警察・司法が独自の判断で捕まえられるように。
   ↓
   ↓←著作権はむずかしい、マイナス面が大きいのではないか(中山教授、知的財産戦略本部構成員
   ↓
  慎重に議論はします←今ここ


 ユーザー(たけくま氏が話している事)
  非親告罪
   ↓
  第三者(権利者でない者)の判断よる逮捕、および告訴が可能となる。
   ↓
  同人誌に代表されるファン活動に障害が出る。
  youtubeニコニコ動画即死
  橙レンジ・ビーチ崎辺りのファンが困る


 コンテンツホルダー
  非親告罪化→海賊版はなくなってうれしい
   ↓
  第三者や松本0士による告訴頻発  
   ↓
  漫画家や音楽家が困る(意識しない真似やパロディオマージュで告訴頻発)
  

◆煩悩是道場 - 著作権法非親告罪化は同人誌を殺すのか
  http://d.hatena.ne.jp/ululun/20070522/1179832946
問題点の定義がすばらしいです。

もう少しいえば対象は何であるのか、どのくらいの収益規模をもってして商業規模と見なすのか、何をもってして海賊行為と見なすのかの具体的な線引きが現時点では見えていない。


『例えば、海賊行為の典型的パターンである営利目的又は商業的規模の著作権等侵害行為』という例示は例示でしかなく、それ以外のものが取り締まりの対象とならないという保証があるわけではない。

まったくもってそのとおりです。それが恐ろしい。 

知的創造サイクルに関する今後の課題(pdf・15〜17ページが問題箇所)タケクマさんが話てる奴

著作権法における「親告罪」の見直し
悪質化・巧妙化する海賊行為を積極的に取り締まるため、著作権法
おける親告罪の取り扱いを見直すべきではないか。


親告罪
親告罪とは、被害者等による「告訴」がなければなければ公訴を提起することができな
い罪をいう。「犯罪自体が比較的軽微であって、被害者等の意思を無視してまで訴
追する必要がない場合(例:過失傷害罪)又は被害者等の意思を問わず訴追する
ことが却って被害者 :名誉毀損罪)に、その罪は親告
罪とされる」(林修三 ほか編「法令用語辞典」)。なお、告訴を欠く公訴は、訴訟
条件を欠くものとして判決で公訴棄却とされる。


現在、海賊行為(著作権等侵害)については、著作権法において親告罪とされ
ている。他に親告罪を採用している罪としては、過失傷害、名誉毀損、親族間の
窃盗・恐喝、非営利目的の略取・誘拐、器物損壊等がある。


(1)背景
海賊版の氾濫は、コンテンツ産業への脅威となり、イノベーションの促
進を損なうとともに、犯罪組織の資金源となり得ること等、社会にもた
らす重大な悪影響が指摘されている。
・ このような指摘を踏まえ、強力かつ効果的な取締を推進していく必要が
あるが、海賊行為を親告罪としておくことにより、以下のような取締上
の支障又はリスクが生じている。


‐海賊行為が巧妙であったり、権利者が複数存在していることで権
利関係が複雑になっている場合には、告訴権者による侵害の立証、
関係者の調整等が困難であり負担が大きくなる。
‐告訴権者が中小企業、ベンチャー企業等、視力や人員の制約」が大
きい場合には、負担を考慮するあまり、告訴を躊躇する恐れがある。
親告罪は、刑事訴訟法により、 「犯人を知った日から6ヶ月を経
過したとき」は告訴が不可能になる。そのため、侵害事実の立証に
時間が掛かる場合や、何らかの事情で告訴を躊躇した場合には、出
訴期間が経過してしまう事態が発生し得る。出訴期間が経過すれば、
起訴及び没収を含む科罰が不可能になる。


・ 海賊行為のなかでも、商業的規模に達しているもの、あるいは営利目
的によるものについては、文化の健全な発展及びコンテンツ産業の発達
にとって明白かつ重大な脅威であること、獲得した金銭は犯罪収益とし
て犯罪組織の資金源になり得ること、動機が悪質であること等、反社会
性が高く、経済的な悪影響も大きい。
このような悪質な事犯については、国際組織犯罪の防止・根絶という
観点からも、その撲滅を目指して特に強力な取締を推進する必要がある
が、現行の著作権法が一律的に親告罪として取締に制約を設けているこ
とは、制度として適当ではないとの指摘がなされ得る。
なお、特許権実用新案権意匠権、商標権及び育成者
については、非親告罪となっている。また、不正競争防止法違反につい
ては、営業秘密にかかる不正競争行為を除き、非親告罪となっている。


・ 他方、親告罪の扱いについて、次の点が指摘されている。


著作権等についての意識が十分でないことから、日常的な活動の
中で著作権侵害が生じてしまうことも少なくないため、非親告罪
した場合に第三者による告発の氾濫の恐れがある。
(2002年 11月 文化審議会 著作権分科会 司法救済制度小委員会における指摘)


他人の著作物をコピーするような行為は、 「他人の土地に入り込
んでいる」という場合と同様に、客観的には「了解を得ているかど
うか」が不明であるし、仮に了解を得ていないとしても、権利者
「まあいいや」と思っている場合には問題ない。
親告罪を採用している理由:「著作権テキスト(平成18年度)」文化庁


(2)具体的方策
著作権等侵害のうち、一定の場合について、非親告罪化する。


「一定の場合」として、例えば、海賊行為の典型的パターンである営利目的又
は商業的規模の著作権等侵害行為が考えられる。
営利目的の侵害行為は、その様態から侵害の認定が比較的容易であるとともに、
他人に損害を与えてまで金銭を獲得するという動機は悪質である。また、営利目
的ではなくても、例えば愉快犯が商業的規模で侵害を行った場合には、権利者
収益機会を奪い、文化的創造活動のインセンティブを削ぐなど、経済的・社会的
な悪影響が大きい。


(3)参考
主要先進国の状況
米国は職権起訴が可能であり、またドイツは親告罪を採用しているものの、特別
な公益上の必要性を認めた場合には、職権起訴が可能。
EUでは、商業的規模(commercial scale)であるもの等一定の知的財産権侵害に
かかる刑事手続に関し、被害者 による通報又は告訴を待つことなく、捜査又は起訴
を可能とするよう要求するEU指令を提案している(2006年4月改正提案)。


文化審議会における議論
2002年11月に開催された文化審議会 著作権分科会 司法救済制度小委員会
において、次の指摘がなされている。


著作権侵害親告罪である理由の一つが私益であるということだが、刑法上の窃盗・横
領・背任などは全部私益であるが、これらは親告罪にはなっていない。」
著作権侵害は、懲役が3年以下(注:2002年11月時点)とされていることから、
法益が軽微なものではないと考えられるため、親告罪にする必要はないのではないか。
このような重大な犯罪行為が行われているのに、告訴期間を過ぎてしまい、引き続き
堂々と侵害行為が行われているというような状況は、著作権侵害に対する規範意識を失
わせる原因となっているのではないか。」
「6ヶ月という告訴期間はあまりにも非現実的である。刑事告訴をする場合も発見してか
ら告訴するまでの間に、弁護士の依頼や料金の算段、被害事実についての資料の作成な
どをしなくてはならず、6ヶ月は短かすぎる。」


この資料に対する親告罪部分の議事録

藤田事務局次長
 2つ目は15ページでございまして、「著作権法における「親告罪」の見直し」でございます。親告罪というのはこの四角の次のところに書いてございますけれども、被害者が告訴しなければ公訴を提起することはできない罪ということでございまして、例えば過失侵害ですとか、名誉棄損ですとか、あるいはストーカー被害ですとか、そうした犯罪については親告罪になっております。それで、現在著作権の侵害についても著作権法上、親告罪とされているわけでございます。
 ただ、同じ15ページの下の方をちょっとごらんいただきますと、例えば海賊行為が非常に巧妙になっていたり、あるいは権利者の関係が複雑になっていて、告訴権者による侵害の立証、関係者の調整が困難、あるいは負担が大きな場合が出てきている。あるいは、中小企業やベンチャー企業にとってはなかなか告訴をする人的、資金的な余力がないという場合もあること。あるいは、親告罪というのは刑事訴訟法によりまして犯人を知った日から6か月を経過してしまいますと告訴が不可能になるということで、いろいろ立証の準備をしているうちに6か月を経過してしまうような事態も起こり得るということから、この際、親告罪ではなく非親告罪とするということを検討してはどうかということであります。 ちなみに、ほかの国の立法令を見てみますと、アメリカなどは17ページのところに書いてございますが、職権起訴が可能である。あるいは、ドイツは原則親告罪なのですけれども、特別な公益上の必要を認めた場合には職権起訴が可能であるというようなことで、EUの指令も同じような提案が今なされておりますので、国際的な調和の観点からもおかしなことではないと考えられるのではないかということでございます。



中山 信弘 東京大学大学院法学政治学研究科教授、知的財産戦略本部
 親告罪なんですけれども、これはちょっと考え直す必要があるのではないかと思います。ただ、結論的に言いますとどちらに転んでも社会はそれほど大きく変わらないだろうと思います。特許権は先年、これを非親告罪にしたわけですけれども、非親告罪にしたから何か変わったかというと全く変わっていないんです。というのは、強盗や殺人ですと警察がすぐ動いてくれますけれども、知的財産権侵害というのは基本的には民事の話ですから、うっかり警察が動くともう民事はすっ飛んでしまいますから民事不介入が大原則で簡単には動いてくれません。親告罪にしようが、非親告罪にしようが、ちゃんとした証拠を持っていて、こうこうこうですということを言わなければなかなか動いてくれないので、実際はほとんど影響ないのかなという気はいたします。
 ただ、著作権は特許と比べますと侵害の範囲が広いというか、あいまいな面が多いわけです。翻案などがありますから、どれが侵害かわからない。窃盗などの場合は窃盗犯は自分は窃盗をやっているということがわかっているわけですからいいんですけれども、侵害かどうかわからないというときに、しかも第三者が告訴をして、仮に警察が動いてしまった場合にどうなるのか。権利者の方は、これは黙認しようとか、まあいいやと思っていても、実は第三者が告訴をするという場合もあり得るわけです。特に著作権は近年では全国民的に関係を持っている法律になってきましたので、こちらの方は特許とはまたちょっと違って場合によっては弊害が生ずる可能性もあるのかなという気がいたします。
 確かに親告罪だと6か月という制限はあるわけですけれども、別に告訴をしておいて後から証拠を出してもいいわけですし、知的財産の場合はそれほど大きな問題はないのではないかと思います。それよりもむしろ何かマイナスの効果の方が大きいのではないかという気がいたします。以上です。

がんばれ中山教授


現在の状況 知的創造サイクル専門調査会(第10回)議事録(H19.2.26)より(from 知的創造サイクル専門調査会)

一方、(2)の?の「著作権法における「親告罪」を見直す」というところです。ここは前回の会議でもいろいろ御議論いただいたところでございますが、「海賊版の氾濫は、文化産業等の健全な発展を阻害し、犯罪組織の資金源となり得るなど、経済社会にとって深刻な問題となっている。重大かつ悪質な著作権侵害等事犯が多発していることも踏まえ」ということで、前回の書きぶりはここに抑止力の向上を図るために親告罪を見直すという書き方になっていたわけですけれども、むしろ抑止力の向上ということではなく、その犯罪の被害が非常に深刻であり、重大である、あるいは悪質なものが増えている。こういうことを踏まえて、親告罪を見直すというふうに理由づけのところを変えてございます。
それから、最後のところですが、「非親告罪の範囲拡大を含めて見直しを行い、必要に応じ法制度を整備する。」ということで、非親告罪にすることを余り断定せずに、更に御議論を深めていただくということでこういう言い方にしてございます。


上でいっているのはこの部分
知的創造サイクル専門調査会(第10回)議事次第 の[資料1] 知的創造サイクルの推進方策(案) より

(2)海賊版対策の更なる強化を図る
?著作権法における「親告罪」を見直す
海賊版の氾濫は、文化産業等の健全な発展を阻害し、犯罪組織
の資金源となり得るなど、経済社会にとって深刻な問題となって
いる。重大かつ悪質な著作権侵害等事犯が多発していることも踏
まえ、海賊版の販売行為など著作権法違反行為のうち親告罪とさ
れているものについて、非親告罪の範囲拡大を含め見直しを行い、
必要に応じ法制度を整備する。